コンビニの中でも特にワインに力を入れているファミリーマートが『神の雫』とコラボ。原作者の亜樹直さんがファミマ側が厳選した12本を試飲し「神の雫」の世界観で味わいを表現。
これまでコンビニワインを飲んだことがない亜樹さんも唸る逸品が登場する。『神の雫』をワインのバイブルと崇める当ブログは当然すべてのワインを購入。聖酒巡礼レビューをお届けする。
- デスパーニュ・ルージュ
- デスパーニュ・ブラン
- ジスト・グラン・レゼルバ
- ベラムール・プレミアム・スパークリング
- フィオリトゥーラ・ランブルスコ
- シトラン・ボルドー
- シャトー・デュ・ラゴン
- コア・ソーヴィニヨンブラン・マールボロ
- ドメーヌ・アラン・ブリュモン・ル・プティ・アルブージエ
- ベルディ・スプマンテ・ブリュット・トレッビアーノ
- ジスト・レゼルバ・バレルセレクテッド
デスパーニュ・ルージュ
- 神の雫の表現:初めての結婚記念日
- 生産国:フランス(ボルドー)
- 葡萄:メルロー、カベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン
- 合う料理:ダークミルクチョコ、チーズハンバーグ、ビーフジャーキー
- 価格:税込1,458円
2023年10月24日から始まったコラボの第1弾。5年熟成のボルドーワインが1,500円以下で買えるのは奇跡。日本のコンビニワインの実力を見せつけるのに最高の初陣。
味わい
熟成があるので、開けてすぐは眠っている。8時間後に開けると香りから違う。蕾から花びらが開いたように華やかなアロマが広がる。『海の見える街』のチェロのイントロが流れ、大空に飛び立つ魔女の宅急便のワイン。
料理とのマリアージュ
料理との相性で最も良かったのはダークミルクチョコ。ワインを飲むとチョコの旨味が蘇り、甘い味わいをもう一度運んでくれる。まさにルージュの伝言。
デスパーニュ・ブラン
- 神の雫の表現:鉄琴で奏でるチョップスティックス
- 生産国:フランス(ボルドー)
- 葡萄:ソーヴィニョン・ブラン、セミヨン
- 合う料理:チーズ鱈、ポテトチップス、カルボナーラ
- 価格:税込1,458円
樽熟成していないので重くなく飲みやすい。ボルドー産だが日本の料理に合うので冷蔵庫にストックしておきたい白ワイン。
味わい
赤と同じく開けてすぐは少し閉じ気味で特徴を感じられない。8時間後から酸味が目を覚ます。ソーヴィニヨン・ブランの野生味(草っぽさ)を感じさせつつクセが少ない。浮遊感のある逃避行を与えるスピッツ『ロビンソン』のようなワイン。
料理とのマリアージュ
最も良かったのがチーズ鱈。チータラ。ワインの青臭さが消えて芳醇な味わいが広がる。これぞマリアージュ。ポテトチップスも良いが、とにかくファミマ限定の堅揚げポテトうす塩が旨すぎる。
ジスト・グラン・レゼルバ
- 神の雫の表現:夕陽のソロキャンプ
- 生産国:スペイン(ラマンチャ地方)
- 葡萄:テンプラニーリョ100%
- 合う料理:ファミチキ、ダークチョコレート、デミグラスのハンバーグ
- 価格:税込1,098円
2011年のヴィンテージで1000円というチート価格。肉料理との相性が最強。今回のファミマ×神の雫で最もフードフレンドリー。デザインもナンバーワン。
味わい
夜のイメージ。完全に閉じているわけではないが、やや眠っている。翌日のほうが美味しい。酸とタンニンが強すぎず、ドン・キホーテの槍のように刺さるが不思議なほど優しい。
料理とのマリアージュ
あらゆる肉と共犯関係を結べる。特に逸品はファミチキ。鶏肉がジストの控えめなクセの強さを引き出す。ポテンシャルを底上げする。主人と一緒に風車に突っ込んで大怪我をした忠実なるロシナンテを思い浮かべるマリアージュ。
ベラムール・プレミアム・スパークリング
- 神の雫の表現:凍てつく季節からのプレゼント、煌めくダイヤモンドダスト
- 生産国:フランス
- 葡萄:アイレン主体
- 合う料理:照り焼きチキン、チーズバーガー、さけるチーズ
- 価格:税込980円
ファミマ限定で2024年1月23日から販売。ペール・ゴールドの色が美しく、炭酸の存在感が強い。これぞ「泡」を飲んでる!という気分になれるスパークリングワイン。しかも冬を感じる。
味わい
果実と炭酸のバランスがよく、千円以下の泡では美味しい。豪雪ではないが、山の頭に雪が積もりはじめた季節のようなスパークリング。槇原敬之の『冬がはじまるよ』が聴こえてくる。
料理とのマリアージュ
マリアージュまでいかないが、フードフレンドリー。良かったのは照り焼きチキン、公式おすすめのチーズ、チーズバーガーなどは甘口のソースが洗い流されスッキリする。
フィオリトゥーラ・ランブルスコ
- 神の雫の表現:幼なじみと食べるフルーツバスケット
- 生産国:イタリア(エミーリア・ロマーニャ州)
- 葡萄:ランブルスコ・サラミーノ主体
- 合う料理:ダークチョコレート
- 価格:税込987円
2024年3月19日発売のルーキー。飲みやすい微発泡スパークリング赤ワイン。
味わい
若さを感じるが、キャピキャピの女子高生ではないし、成人もしていない。高校を卒業したてで希望に胸をふくらませる19歳の女性のワイン。
料理とのマリアージュ
ランブルスコはロゼワインのようにフードフレンドリーだが、甘口のお酒なので好みが激しいく分かれる。最も相性が良かったのはダークチョコレート。マリアージュまで行かないが、カカオ100%の苦味と甘口ワインのバランスがよく、甘ったるさが調和される。
シトラン・ボルドー
- 神の雫の表現:旅する恋人からの「小さな贈り物」
- 生産国:フランス(ボルドー)
- 葡萄:メルロー、カベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン
- 合う料理:鯖缶トマトパスタ、アマトリチャーナ、チョリソー、ファミチキ
- 価格:税込1,647円
ファミリーマートとのコラボ企画で亜樹直さんが自らチョイスしたバリュー・ボルドー。閉じたワインが多いボルドーの中で抜栓してすぐに飲める。
味わい
抜栓してすぐは『るろ剣』の二重の極みや天翔龍閃のように酸やタンニンのダブルパンチが来る。かなり男っぽい女性という印象。しかし、時間を置いて付き合ってみると、徐々にチャーミングで柔らかくなっていく。ブリジッド・バルドーのようなワイン。
料理とのマリアージュ
最高のマリアージュは鯖缶で作るトマトパスタやアマトリチャーナ。タンニンや酸味がとれ、優しさと愛しさと心強さが広がる。篠原涼子と小室哲哉のマリアージュ。
シャトー・デュ・ラゴン
- 神の雫の表現:過ぎし日の記憶の中に佇むカントリーハウス
- 生産国:フランス(ボルドー)
- 葡萄:メルロー、カベルネ・ソーヴィニョン
- 合う料理:グラナ・パダーノ、スライスチーズ、ロースト・ビーフ
- 価格:税込1,078円
前から同商品が成城石井で売られている。ただし価格が1,859円で倍近い。アメリカでも販売されており17ドルなので同価格ほど。半額近くで売るファミマがいかに凄いか。
味わい
デスパーニュほどは閉じていないがベストタイミングは開栓して1日後。華やかさが増してグッと美味しくなる。最初に感じるのが甘さ、そのあと赤ワインの酸味と果実味が来る。飲み終えたあとに舌が少しザラザラする。ワイン単体でも美味しいが、料理を呼びたくなる。
料理とのマリアージュ
最も良かったのがハードチーズのグラナ・パダーノ。スライスチーズも悪くないが、チーズの力が強いほうがいい。ワインのザラザラ感が消えてエレガントな旨味だけが残る。ザ・マリアージュ。同じ発酵食品、二卵性双生児であるスカーレット・ヨハンソン。
コア・ソーヴィニヨンブラン・マールボロ
- 神の雫の表現:刹那の夏。頬を撫でる一涼の風
- 生産国:ニュージーランド(マールボロ)
- 葡萄:ソーヴィニヨン・ブラン
- 合う料理:ニンジンのペペロンチーノ
- 価格:税込1,598円
ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランを使って日本で造った「日本ワイン」。第8弾までで圧倒的な名酒。
味わい
ハーブの香りにキッレキレの酸味、ほのかな果実味。そして余韻に果実味とやさしい酸が残る。この価格帯ではトップクラスの旨さ。
料理とのマリアージュ
最高のマリアージュはニンジンのペペロンチーノ。にんじんの甘味とソーヴィニヨン・ブランの野生味が完璧。広大な草原を天満たちが勇ましく駆ける。蒼き狼チンギス・ハーンのマリアージュ。
ドメーヌ・アラン・ブリュモン・ル・プティ・アルブージエ
- 神の雫の表現:デキるビジネスマンの一週間
- 生産国:フランス(マディラン)
- 葡萄:カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン
- 合う料理:焼き鳥、ハンバーグ、豚角煮
- 価格:税込1,078円
5年以上前からファミマで販売されているロングセラー。珍しい葡萄品種タナを中心に造られ、花がパッと開いたような美味しさが広がる。
味わい
タンニンがノルマンディの波のようにあとから押し寄せるが、そこまでキツくない。むしろフルーティーさのほうが勝って、めちゃくちゃ美味しい。寒い冬が過ぎ、花が咲き始めるような開放感。
料理とのマリアージュ
最も相性が良いのは焼き鳥のタレ。フルーティーさが際立つ。次にカルパス。タンニンが花火のように爆発する。でも嫌な苦味はない。
ベルディ・スプマンテ・ブリュット・トレッビアーノ
- 神の雫の表現:軽井沢・白糸の滝
- 生産国:イタリア(エミリア・ロマーニャ州)
- 葡萄:トレッビアーノ
- 合う料理:ペペロンチーノ、生ハム、ジェノベーゼ
- 価格:税込880円
『神の雫』とのコラボに合わせて2025年4月に発売されたやや辛口のスプマンテ(イタリアのスパークリング)。グラスの中に立ち昇る泡が、目覚めたばかりの若葉のように輝く。
味わい
香りは控えめだが、芯がある。瑞々しい果実、ほんのりとしたビター感。甘酸っぱさのあとに訪れる、ほろ苦い別れのよう。味わいはドライでいて包容力がある。冷たいだけの辛口ではない。奥に、しなやかな果実の膨らみとハーブの清涼感が潜んでいる。
料理とのマリアージュ
最も相性が良いのはペペロンチーノ。ハーブ感がプラスされ、高級オリーブオイルをかけたような風味が生まれる。
ジスト・レゼルバ・バレルセレクテッド
- 神の雫の表現:恋人と行く夕陽のコンサート
- 生産国:スペイン(ラマンチャ地方)
- 葡萄:テンプラニーリョ100%
- 合う料理:生ハム、肉じゃが
- 価格:税込1,098円
再販を望む声が多かった「ジスト・グラン・レゼルバ」の熟成を抑えた赤ワイン。フレッシュでまろやかさが特徴。
味わい
開けてすぐ、果実味が豊かでフルーティー。ほどよいタンニン。口がスッキリで美味しい。初日が最も美味しく、徐々に味わいが落ちていく。一人飲みで1週間かけるより、仲間で開けてその日のうちに飲み切るのがおすすめ。
料理とのマリアージュ
肉じゃががこのワインを静かに包み込み、優しさを引き出してくれる。ドン・キホーテが風車を前にして立ち止まり、心の内をそっと明かした瞬間のように、温かく、切ない。
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