ワインほどグラスによって印象が変わるお酒はない。ワインはグラスの中で変化していく。ワインは香りと味わいが複雑に広がる交響曲。ワイングラスは楽器であり、楽器が悪いと良いシンフォニーは生まれない。ミシュランの料理をコンビニの紙皿で味わうと魅力が落ちてしまうのと同じ。ワイングラスは聖杯。愉しむためには適切なワイングラスを愛蔵しよう。
おすすめ万能型ワイングラス
- 高さ:168mm
- 容量:340ml
- 製造:マシンメイド
- 材質:カリクリスタル
- 梱包:専用の箱つき
- 生産国:スロバキア
最も売れ筋の大人気で入荷待ちになることが多い万能型のグラス。日本の木村硝子が販売し、スロバキア製なので、おそらく製造はRONA。軽くて薄くオシャレ。
カリクリスタルは軽くて強いガラス。小ぶりなので洗いやすいのも嬉しい。ふっくらしているので赤ワインの香りもグラスに充満する。
ロゼやスパークリングを入れてもオシャレ。ワインを飲む愉しさを広げてくれる。
ワイングラスの選び方
ワイングラスは主に「高さ」「口径」「膨らみ」によってワインとの感応が違う。ソムリエ試験で使われるINAOのテイスティンググラスは最もオーソドックスなもので万能型。色んなグラスを集めたほうがワイン・ライフが愉しいが1個だけで十分という人にはおすすめ。
白ワインは小ぶりのグラス
白ワインは冷やしたほうが美味しいので赤ワインのグラスより空気に触れる面積が狭い。ビールのようにガブ飲みしないので温度が上がらないよう容量が小さいものが良い。RONAは1,000円台の低価格なのに割れにくくてオシャレ。
香りが豊かな白はモンラッシェ型
香りが豊かな樽熟成の白ワイン(オークド・シャルドネ、モンラッシェ、ムルソーなど)は容量の大きいモンラッシェ型で飲む。小ぶりのグラスでは香りが広がりにくく、ワインの複雑性が伝わりにくい。モンラッシェ型のワイングラスは価格が高いので赤ワイングラスで飲んでもいい。
赤ワインは容量の大きいグラス
- 高さ:187mm
- 容量:350ml
- 製造:マシンメイド
- 材質:クリスタルガラス
- 梱包:RIEDELロゴ入り箱
- 生産国:ドイツ
赤ワインは香りが強いのでグラスの中に閉じ込めるように底は広く容量も大きい。タンニンの酸味が一気に来ないよう、飲み口は狭くなっている。芳醇な香りが深く感じられる。 繊細な赤ワインほど大きめの赤ワイングラスが合う。逆に香りが弱い赤ワインを大きめのグラスに注ぐと香りがボケてしまうので白ワイングラスのような小ぶりのほうが香りを感じられる。
ボルドーの赤ワインは高身長グラス
ボルドーの赤ワインを飲むときは高身長のワイングラス。いわゆるチューリップ型。ボルドーの赤ワインは香りが強いので容量が大きいほうが香りが柔らかくなって立ち込める。鼻までの距離が短いと香りのクセが強すぎる。そしてタンニンが強いボルドーワインを空気を触れさせ、縦にストレートに入ってくることで渋味を和らげる。上の写真のツヴィーゼルは3000円以上するが、1000円台や2000円台もある。東洋佐々木ガラスはツヴィーゼルより高身長で値段も1000円安い。
スパークリングは縦長で泡を愉しむ
スパークリングを飲むときは縦に長いフルートグラス。泡が立ち上がり炭酸をしっかり感じやすく喉越しが良い。泡が滝を逆流する様も美しく見た目でも愉しめる。フルートグラスは酸を抑える効果もあるので、酸っぱい赤ワインをまろやかにしたいときにも使える。フルートグラスでも酸味が強くてすっぱいと思ったら白ワイングラスにすると良い。
ロゼやオレンジワインは白と赤の中間
ロゼワインやオレンジワインは白と赤の中間のようなグラス。香りを閉じ込める口元がすぼまった形状で、ワインと空気が触れる空間があるグラス。
デザートワインのグラスは小ぶり
デザートワインは極甘なので30mlから60mlほど少量を注ぐ。なのでグラスも小ぶりのものがおすすめ。そして何より見た目がオシャレであること。スイーツと一緒に合わせるのでスウィートなグラスを選ぼう。甘いひととき、Sweet Emotionが大事。
リーデルのおすすめワイングラス
1756年、モーツァルトが生まれた年に創業。アマデウスと同郷のオーストリアのメーカー。ワインの種類ごとに形状を変えて作った最初のパイオニア。ワイングラスといえばリーデルというくらい有名。百均などのグラスと比べて圧倒的に軽い。『神の雫』のオープニングはリーデルのワイングラスにロマネ・コンティのリシェブールを注ぐことから始まる。
万能型ワイングラス
リーデル オヴァチュア
- 高さ:180mm
- 容量:340ml
- 製造:マシンメイド
- 材質:クリスタルガラス
- 梱包:専用の箱つき
- 生産国:ドイツ
リーデルの入門グラス。オヴァチュアはフラン語で「オープニング」の意味。340mlと小ぶりで赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン用に作られた万能型ワイングラス。値段も1000円台のカジュアルグラスなので、「リーデル、リーデルっていうけど何が良いの?」と気になる人におすすめ。高級感のある箱付きなのでプレゼント用にも良い。
白ワイングラス
シャルドネ
- 高さ:225mm
- 容量:381ml
- 製造:マシンメイド
- 材質:クリスタルガラス
- 梱包:RIEDELロゴ入り箱
- 生産国:ドイツ
最も好きなブドウ品種シャルドネ。小ぶりの可憐さ。
オークド・シャルドネ
- 高さ:234mm
- 容量:660ml
- 製造:マシンメイド
- 材質:クリスタルガラス
- 梱包:RIEDELロゴ入り箱
- 生産国:ドイツ
樽熟成の香り豊かな白ワイン用。
外出用の白ワイングラス
- 高さ:106mm
- 容量:375ml
- 製造:マシンメイド
- 材質:クリスタルガラス
- 梱包:RIEDELロゴ入り箱
- 生産国:ドイツ
ステム(脚)がないワイングラス。フランスやイタリアではステムではなくボウルの部分を持つ。お寿司屋さんで白ワインを頼むと、このタイプで出てくることが多い。外出用なので箱もオシャレ。
外でワインを飲むけどきちんとしたグラスで飲みたいときに使う。リーデルの公式ではリースリングを飲むのときにもおすすめ。
価格も2,000円未満で手が出しやすい。大吟醸のグラスなので日本ワインやグビグビ飲むスパークリングにもおすすめ。洗うときもステムが折れることがないので安心。
赤ワイングラス
ブルゴーニュ・グラン・クリュ
- 高さ:276mm
- 容量:1022ml
- 製造:マシンメイド
- 材質:クリスタルガラス
- 梱包:RIEDELロゴ入り箱
- 生産国:ドイツ
赤ワインはグラマラスに。魔性に。驚愕の1リットル超え。ワイン一瓶が注げるボリューム。大きいグラスのほうがグラス内に香りが籠って広がるので、タンニンや酸の味などを感じやすい。葡萄狩りの中にいるように感じる。良い映画は大きいスクリーンで観たほうが良いのと同じ。ワインにもスケール感を。ピノ・ノワールやイタリアのネッビオーロ種に向いている。白ワインであればモンラッシェなど樽香の強い重厚なシャルドネにも合う。
ワインウイングス・ シラー
- 高さ:250mm
- 容量:865ml
- 製造:マシンメイド
- 材質:クリスタルガラス
- 梱包:RIEDELロゴ入り箱
- 生産国:ドイツ
従来の卵形のグラスとは一線を画した飛行機の翼をイメージしたもの。底が平らで幅が広いことでワインの蒸発量が増し、アロマをより引き出すことができる。シラーに関しては土の香りや香ばしさ、その後ろに隠れた控えめなタンニンなどバランスよく整える形状。濃い目の葡萄品種、カベルネ・ソーヴィニヨン主体のワインのときも使う。
ロゼワイングラス
- 高さ:247mm
- 容量:347ml
- 製造:マシンメイド
- 材質:クリスタルガラス
- 梱包:RIEDELロゴ入り箱
- 生産国:ドイツ
小ぶりがオシャレ。味わいや香りがバランスよく愉しみやすい。デザートワインやスパークリングにも使う。
スパークリンググラス
- 高さ:252mm
- 容量:340ml
- 製造:マシンメイド
- 材質:クリスタルガラス
- 梱包:RIEDELロゴ入り箱
- 生産国:ドイツ
細身で泡が立ち上るフルートグラス。冷えたほうが美味しいので空気に触れないように面積も狭い。ただし、香りを楽しむなら白ワイングラスのほうが向いている。リーデルのヴィノム・シリーズはレストランやワインバーでも愛用される。漫画『ソムリエール』で主人公の樹カナがフランス留学時代に働いていた店でも使っていた。
旅行用ワイングラス
- 高さ:160mm
- 容量:459ml
- 製造:マシンメイド
- 材質:クリスタルガラス
- 梱包:RIEDELロゴ入り箱
- 生産国:ドイツ
ビール会社と共同で開発した「ボヤージュ」。形状がビールグラスなので白や赤やロゼはもちろん、スパークリングワインにも合う。
旅行先や帰郷の際の旅のパートナー。
リーデル以外のメーカーおすすめワイングラス
万能型ワイングラス(木村硝子)
- 高さ:168mm
- 容量:340ml
- 製造:マシンメイド
- 材質:カリクリスタル
- 梱包:専用の箱つき
- 生産国:スロバキア
冒頭で紹介したものと同じ。白、赤、ロゼ、泡すベて映える超・超・万能型ワイングラス。一人一脚はストックしておきたい人気シリーズ。
万能型ワイングラスII(RONA)
- メーカー:RONA
- 高さ:200mm
- 容量:340ml
- 製造:マシンメイド
- 材質:カリクリスタル
- 梱包:なし
- 生産国:スロバキア
底が平らなタイプの万能型グラス。参宮橋のレガーロで使っている。カリクリスタルは軽くて強い特性があるガラス。リーデルのようなクリスタルに比べると少し透明度は落ちるが手に取りやすい価格。
白ワイングラス(RONA)
ロナ RONA スタイリッシュ 白ワイン
- メーカー:RONA
- 高さ:215mm
- 容量:340ml
- 製造:マシンメイド
- 材質:カリクリスタル
- 梱包:なし
- 生産国:スロバキア
スロバキアのメーカーRONA(ロナ)。割れにくく1000円台。世界中のホテルやレストランで採用されている。最もスタンダードな「クラシック」シリーズの白ワイングラス。軽くてスワリングがしやすく、「RONA」のロゴも気持ちいい。ワインが好きなら最低でも、このクラスのワインを一つ持つよう強く推薦する。
赤ワイングラス(ツヴィーゼル)
ピュア ボルドー
- メーカー:ショット・ツヴィーゼル
- 高さ:268mm
- 容量:640ml
- 製造:マシンメイド
- 材質:トリタンクリスタル
- 梱包:なし
- 生産国:ドイツ
圧倒的なお気に入り。赤ワインが好きな人に必ず勧める。バベルの塔のようなワイングラス。リーデルや他のメーカーのボルドーグラスは丸みがあり尖塔感が薄い。それではボルドーグラスの意味がなくなる。輸入は木村硝子、製造はツヴィーゼル。ドイツのメーカーで割れにくいワイングラスとして有名で、ソムリエコンクールや高級ホテル、飛行内でも使われる。ボルドーの赤ワインを飲む高身長のワイングラス。百均のグラスと比較すると一目瞭然。
ロゼワイングラス(イタレッセ)
- メーカー:イタレッセ
- 高さ:217mm
- 容量:500ml
- 製造:マシンメイド
- 材質:クリスタリン
- 梱包:なし
- 生産国:イタリア
1979年イタリア北部トリエステで誕生した「italesse」。白、赤、ロゼ、泡まで楽しめる万能型。香りも味わいもバランスよく伝わる。『神の雫』では第十二の使徒を探す前に遠峰一青がシャトー・ラフィット1945年をこの形状のワイングラスで飲んだ。
シャンパングラス(木村硝子 )
- メーカー:木村硝子
- 高さ:217mm
- 容量:240ml
- 製造:ハンドメイド
- 材質:ソーダガラス
- 梱包:なし
- 生産国:日本
メイド・イン・ジャパン。ハンドメイドの木村硝子のフルートグラス。ギャルソン。軽い。だから泡を飲むときも軽やかな口当たりになる。
見た目は変わらないが、百均のグラスは木村硝子に比べると味も重たくなる。より美味しく味わうには良いフルートグラスがおすすめ。
デザートワイン(ボヘミア)
- メーカー:ボヘミア
- 高さ:210mm
- 容量:250ml
- 製造:マシンメイド
- 材質:クリスタル
- 梱包:記載なし
- 生産国:チェコ
ダイソーでも300円で売っているボヘミアの本物。
ロマンスグラスは花柄の模様が刻印されていてデザートワインにピッタリ。
ガラスの素材も百均はカリクリスタル。透明度はクリスタルに匹敵し、叩いたときにも「チーン」と美しい金属音がして軽さもある。百均は少しぽっちゃり、ロマンスグラスはモデルのようにスレンダー。
ロマンスグラスはクリスタルガラス。音も楽器のように美しい。デザートワインを飲むなら今夜ロマンスグラスで。
パーティー気分のクープ型
パーティー会場やホストクラブでお馴染みシャンパンタワーのグラスは「クープ型」という平らなもの。「ソーサー型」とも呼ばれる。中世ヨーロッパでスパークリングを飲むときは縦長のフルートグラスではなく、クープ型が主流だった。女性が喉元を見せなくてよく、ゲップが出ないように平たくして泡が抜けやすいような構造。マドラーで混ぜて泡を抜いてから飲む。今でも結婚式やパーティー会場ではゲップが出ないように、クープ型でスパークリングを提供する。先述のベラスケス『バッカスの勝利』ではクープ型でワインを飲んでいる。太古の気分が味わえる。
旅行用のロブマイヤー
旅行先や移動中の電車や飛行機で飲む用の携帯ワイングラス。名前のバレリーナは英国のプリマドンナであるマーゴ・フォンティーンがティップ・トゥで立つ姿をイメージしたもの。『神の雫』では神咲雫が遠征でペアグラスを持ち歩いている。ワイン放浪の旅に出るなら欲しい逸品。
おすすめワイングラス・クロス
リーデル クリスタル クロス
シャルドネのように力強く分厚いクロス。主にリーデルのワイングラスを拭くときに使う。特にスパークリングのグラスは泡立ちが良くなるように、しっかり拭く。
LONNEA グラスクロス
ワインレッドの心。百均のグラスであってもピカピカに。肌触りがよく、大切なワイングラスだからこそ専用のクロスで磨きたい。
ワイングラスの豆知識
ワイングラスの大きや形状によって、香りの立ち方と広がり方、口に入る量が変わって速さ、広がりが変わる。複雑な味や香りのワインであるほど、活かすも殺すもグラス次第。個性がハッキリしたボルドーワインは花。開かせるには適切な花瓶が重要になる。
ワイングラスの歴史
ワインは紀元前からあるが、ずっとお椀のようなもので飲まれていた。現在のようなガラスのワイングラスが登場するのは1400年代の中世ヨーロッパ。イタリアが起源といわれる。その後、イギリスで高級グラスが作られるようになった。
ベラスケス《バッカスの勝利》でも農夫たちがお椀のグラスで飲み、左上の精霊サテュロスが高貴なグラスで飲んでいる。様々な形によって香りや味わいの違いを愉しむようになったのは1950年代にRIEDEL(リーデル)が様々な形のワイングラスを出してから。
ワイングラスの部位の名称
画像引用:cocos
・飲み口「リム」
・真ん中部分「ボウル」
・脚「ステム」
・底「プレート)」
ワインを飲むとき外国ではボウルの部分を鷲掴みにすることが多い。日本では脚の部分に当たるステムを持って飲む。『神の雫』で遠峰一青はプレートを持つ。これが最もカッコよく真似している。ワインを注ぐ量はグラスの1/3以下の部分、もしくはボウルの最も膨らんでいる部分まで注ぐと美しい。
百均のワイングラスとの違い
百均は便利で赤ワイングラス(300円)、白ワイングラス、ビールグラス(ロゼ用)、スパークリンググラス(フルートグラス)など、多様な形状が売っている。割れにくにい上に割れても100円だから買い直しやすい。ハッキリ言って素晴らしい。たまにしかワインを飲まず、いいワインを買わない人であれば百均で十分、というより百均がベストマッチ。三百円だが逆さ富士のグラスはボヘミア製。どんなワインにも合わせる万能グラス。何個もワイングラスを持ちたくない人は、この一脚あれば十分。
ワインが好きで飲む頻度も高く、より美味しく飲みたいワインラヴァーは最低でも1000円台のワイングラスを一つ所有してほしい。強くお勧めする。檜の浴槽とコンクリートの浴槽では温泉の気持ちよさが違うのと同じ。
- ワインが美しく見える
- 香りが立つ
- 甘さを感じられる
フォークなどで軽く叩いてみると音が違う。良いグラスは透明で高い楽器。百均は木魚を叩くような音。使い比べてみて大きな違いは上の四つ。良いワイングラスはワインが美しく見え、目をつぶって飲まない限り、少し美味しく感じられる。見た目の違いは「身長の高さ」「グラスの薄さ」「軽さ」「スタイリッシュさ」。人も山も身長が高いほうがカッコいい。3割り増しで美しく見える。パリコレのモデルさんとアマチュアのモデルさんの歩き方や立ち姿の美しさが全然違うように、グラスによってワインの見え方が全然違う。比べてみると色合いの光沢も違う。
高級なワイングラスはガラスが薄く光を通す(透過率)が良く透明度が高い。百均のグラスは屈折も大きいので絵画が歪んで見える。リーデルのグラスはワインの色をそのまま伝えるだけでなく、さらに輝いて見せてくれる。最後に香り。高さがあり容量も大きいので、グラスの中に香りが広がる。同じワインを嗅いだときに、より本来の香りが感じられる。そしてグラスが薄いほど甘さを感じる舌の部分にワインが接地しやすくなり甘さを感じられる。
ワイングラスへの注ぎ方
- ふくらみのトップのところまで注ぐ
- 注ぎ終わりに瓶をクルッと回すとこぼれない
- 若いワインは高い位置から空気を含ませるように注ぐ
- 熟成が進んだワインは空気に触れないようグラスに近づけて注ぐ
価格帯ごとのおすすめワイン