あと1000円出せば1万円。それは厳しい。1万円以下で手が届く高嶺の花があってもいい。登山ではエヴェレスト超えの標高を誇る価格。記念日やご褒美に飲めば絶望すら思い出に変えてくれるワイン。
白ワイン
ルーデュモン・ムルソー・ 仲田晃司
- 生産国:フランス
- 地域: ブルゴーニュ
- 葡萄:シャルドネ100%
- 年代:現行
- 生産者:ルー・デュモン
フランスはブルゴーニュ。日本人の仲田晃司の結晶。エチケットに「天・地・人」とデザイン。漫画『神の雫』では2003年をヴィンセント・ヴァン・ゴッホ《花咲くアーモンドの小枝》のようなワインと形容。シャルドネ100%。2000年からネゴシアンとして造り始めたワイン。デュモンは山。 仲田晃司の生まれ故郷、岡山の松山城をイメージ。天と地の間に「人」の文字。人は天と地によって生かされるというメッセージ。葡萄の本質を引き出し、いたずらに甘くなく一定の酸やタンニンを持たせている。日本人だから造れるワイン。人もワインも純粋であることが大切じゃない。気まぐれな天と地の狭間で人は迷いながら試行錯誤を繰り返し、時に汚れ、さまざまな異物を取り入れ、逞しく成長しながら生きてゆく。
赤ワイン
アルジャーノ・ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ
- 生産国:イタリア
- 地域: トスカーナ州フィレンツェ
- 葡萄:サンジョベーゼ
- 年代:2019年
- 生産者:アルジャーノ
16世紀にはワイン造りが行われ、モンタルチアーノ最古の老舗ワイナリーのひとつがアルジャーノ。ジャコモ・タキスを醸造コンサルタントに加えてから一層素晴らしいワインを生み出してきた。『神の雫 マリアージュ』では2012年をTボーンステーキに合わせた。ミケランジェロ《アダムの創造》で描かれる世界を彷彿とさせる。ワインの持つ生命力とビステッカの逞しさの組み合わせは人々を闇から救いだし光へと導いたフィレンツェの街に花咲いたルネッサンスのマリアージュ」と表現。
ヴェヌス・ラ・ウニベルサル
スペイのカタルーニャ州の赤ワイン。天才醸造家と呼ばれるサラ・ペレスが造る自然派ワイン。『神の雫』では2007年が登場。第十一の使徒を探す途中に遠峰一青がソニアの母にレストランでサーブした。大地の香り、命そのものの息吹、何者にも揺るがすことのできない大地に深い根を張った大木、その根元に佇んでいる。偉大なその大木と若木は、しかし大地の中で繋がっている。そんなことに気付かせてくれる。命とはどんな長いものでも虫のように短いものでも、受け継がれることによってのみ存えていく。森の中では森羅万象すべてが平等。総ての命は繋がっている。虫は木の葉を食べていき、その亡骸はやがて大地に帰りその樹を育てる。それが森の理。力のある限り、命ある限り、希望を持ち続けろと言ってくる。命の塊のワインを味わうことで明日を生きることへの勇気をもらえる。この傑作ワインはそれ自体が大きな森であり一つの小宇宙である。
サン・ロマン・ルージュ・スー・ロッシュ・ドメーヌ・ド・シャソルネイ
- 生産国:フランス
- 地域: ブルゴーニュ(コート・ド・ボーヌ)
- 葡萄:ピノ・ノワール
- 年代:2021年
- 生産者:ドメーヌ・ド・シャソルネイ
『神の雫』で2009が登場。木戸が高校の同級生で枕営業をしようとするモデル志望の仲島美帆に飲ませた。決して新しくはない、でも住み心地のいい木の温もりがある、想い出がいっぱい詰まっているあったかい家。決して気取っていない、素朴で少し退屈かもしれないけど、でも笑顔でいつも帰りを待っていてくれる。和風の煮物に合う。
オレンジワイン
パオロ・ベア・アルボレウス・トレッビアーノ・スポルティーノ
イタリアのオレンジワイン。ウンブリア州の土着葡萄トレッビアーノ・スポルティーノを発酵・熟成させる。『神の雫 マリアージュ』では鮭のムニエル・ヴァン・ブランソースに合わせた。目的地もなくどこから来たのかも忘れてしまった、そんな時間を忘れた船旅。「遥かなるアドリア海のサンセットクルーズ」のマリアージュ。